本や旅先、飲食店は常に新しいこと、未知なることを優先する、リピーター体質の反対……ってなんていうんだろうか、スタンプラリー体質?(違うか)、自分は根っからそういうタイプだと思っているのですが、音楽と推し(萌え)に関しては、いつまでもスルメをしがむようにリピートする習性があるようです。

 

珍しく更新したと思ったらなんの話だよって?

それは約1週間前のこと。急にBTS沼に落ちて周囲への布教に励む職場の先輩から、「(メンバーの)SUGAがオールナイトニッポンでパーソナリティーを務める放送で小室哲哉がゲストで対談するよ」とお知らせが。

彼女の影響によりBTSのメンバーの顔と名前は認知できるまでにはなり、有名な楽曲は心地よくキャッチーだし、Vやジョングクといった美形メンバーも確かに眼福ではあるのですが、沼落ちするには至らず、なんだかせっかくの布教にイマイチ反応できなくて申しわけないなー、と思っていたところでしたので、小室さんも出ることだしねとラジオを聞いたのが、このたびの発火点でした。

視聴を終えたわたしの手は、どういうわけか、もう何度観たかわからないTM NETWORKの関連動画を検索しており、明け方まで目を血走らせて見漁り……あれ? ここ、本来ならBTS動画を巡回すべき流れだよね⁉

このラジオを聞くまでは、すっかり忘れていたんですよ、TMのこと。小室さんがいつの間にやらしれっと引退を引退して戻ってきているのも(※褒めてます)、2021年秋にはTM再起動で新曲リリースと配信ライブがあったことも認知してはいたんですが、うまく波に乗り切れず、2022年は男闘呼組の復活に盛り上がってしまったこともあって、TMの存在は消えないまでも頭の脇に追いやられていたのです(「紅白歌合戦」に突然小室さんが登場したときはさすがにテンション上がりましたけどね)。

それなのに……本棚の奥深くにしまっていた写真集や雑誌の総集編を引っ張り出し、「20 Years After -TMN通史-」という膨大な考古学ブログを一から再読し、宇都宮さん出演ドラマ「誘惑」を観るためにParaviに入ろうとしている廃人まっしぐらの行動は、いったいなんなの!? 誰か説明お願い!!

 

ラジオを聞いた人でないとわからないことを承知で書きますが、この対談はおそらく番組側の意向でセッティングされたと思われ、SUGAは坂本教授のファンなのでそれ繋がりってことはうっすらあるかもしれませんが、どうも小室さんのことをさほど知ってはおらず、「昔の日本で一時代を作ったらしいプロデューサーって聞いてます」くらいの認識なんだろうなーというのが伝わってきて、小室サイドに立つとなんとなくモヤモヤする内容でした。

いまをときめくBTSのメンバーであり、自分で楽曲を作ったりプロデュースもしたりする彼に、小室さんはマニアックな音楽の質問を投げかけたりして、それなりの盛り上がりは見せていましたが……。まあ、パーソナリティーとは言え実質SUGAの特番みたいなもんだから、小室さんはあくまでゲストなんだけどさ。でもどっちかっていうと、小室さんがインタビュアーみたいだったよね。

リスナーのメールには、「昔FANKS(TMのファン)で、いまはARMY(BTSのファン)です!」といった声も多く、進行アシスタントを務めていた古家正亨さんもどうやら同じくARMYだがFANKSでもあるというのでちょっと嬉しくなりましたが、わたしはそんなこんなで無性にTMが恋しくなり、BTSはそりゃ大活躍で凄いだろうけど、TMだって凄いんやで!ということを再確認し、世界に訴えたい衝動にかられたのかもしれません。

 

いまや、終了カウントダウンに入っている男闘呼組への関心よりも、TMへの思いが倍々に膨れ上がっているという謎現象ですが、ちょうどニューアルバムをリリースしたり(半分は過去曲のリミックスですが)、 『劇場版シティーハンター』のOPに新曲を提供したりとトピックも満載で、なんだかタイミングはよかったみたい。どうやら来年が40周年なんですね、ってことにも、つい先日まで気づいていなかったんですけどね!

30周年の一連のライブに行っていたのがこないだのことかと思ったら、あれから10年経ってしまったなんて、ほんと怖い。35周年は、小室さんの引退騒動があったから飛んじゃったのか。

30周年もそれなりに年を取った感じはあったけれど、いま久しぶりに映像で見るメンバーは、もう還暦を過ぎて、老境に差し掛かっているのがひしひしと伝わってきます。昔の映像を見漁っているから、余計に時の流れを感じてしまって切ないね……。小室さん、紅白に登場したときはメルケル首相とか揶揄されていたし、宇都宮さんはやっぱり大病したことが尾を引いているのか痩せすぎているように思えて……。木根さんがいちばん木根さんのままって感じで安心します。昔、木根さんは小室さんの番組で、60歳になったらブレイクするって云っていたけど、あながち間違いじゃなかったな(笑)。

だけど、3人が数日前に出演したラジオ「SF rock station」を聞くと、声もノリも、昔と何ら変わらず、グダグダわちゃわちゃして、仲よしの男の子たちがふざけ合っているハートフルな雰囲気に溢れていて、多幸感このうえなかったです。いくつになってもこんな感じでいられる仲間がいて、未だに一緒に仕事しているなんて、ほんとに尊いよね。

 

音楽に関しては、ニューアルバムの新曲も含めて老いた感じはしないのですが、やっぱりわたしは1984~1994年のTMの音楽が一番好きだということは、たぶん変わらないのだろうな……。まあこれは30周年でもそう思っていたし、好みの問題もあると思います。音圧強めのいまの音がいいって人もきっといるでしょうが、やっぱり最初の10年の活動期間に出した8枚のオリジナルアルバム(ミニアルバムを入れたら9枚ですね)の楽曲が素晴らしすぎて……。TMNにリニューアルしたとき、めちゃくちゃ路線が変わって当時離れたファンも多かったみたいだけど、いま通して聞いてみると、それでもTM色というものが変わらず1本通っていて、自分の好きなTMの音だなって思うんです。アルバム『Self Control』では、音を重ねたいのを我慢して限界まで削ぎ落したという話を小室さんがしていましたっけ。パソコンで100トラックくらい平気で重ねる現代において聞くと、華やかなのに無駄なく引き締まっていて、飽きが来ないのですよね。宇都宮さんのボーカルは、いまも素晴らしくクオリティをキープしていると思うけれど、昔の、透明感と男っぽい低音が同居する、アルバム『Gorilla』のころに掲げていた「パワフル&テンダネス」を体現していたボーカルが、なんだかんだで好みです。ライブで歌い踊る姿も佇まいはクールなのに、情熱的でエネルギッシュで最高にかっこよかった。

 

しかしまあ、わたしも意味不明な時期にTMファンになって、早10年以上になろうとしていますね。もうそろそろ堂々とFANKSを名乗ってもいいですかね?

思えば、わたしが小学校から中学校にかけてくらいのころ、彼らはしょっちゅうテレビにも出ていたし、宇都宮さんの数少ないドラマ出演だってじつはリアルタイムで見ていたりもしていて、そこでファンになれていればよかったのになあ、って毎回毎回毎回……沼に落ちるたびに思います。

でもやっぱり、そのころには気づけないことってあるのよね。当時はむしろ、B‘zに興味があったし、大人になったら稲葉さんみたいな人と付き合いたいとか思っていました(笑)。声質も、いま聞くと本当に宇都宮さんのボーカルは唯一無二の魅力があるのだけど、子どものころは、稲葉さんのようなねちっこい歌い方に比べると物足りなく感じていましたっけね。

TMが終了したころは、Sing Like Talking一辺倒だったし……。そういえば、佐藤竹善さんと木根さんは某学会のつながりか、いま一緒にライブしていますね。

せっかくいま、現在進行形で活動してくれているのに、懐古寄りファンなもので、積極的にFANKSさんと交流をもつのもためらわれるんですが、それでもよければ誰か話しかけてください。いまなら、仕事でどんなに嫌な人から攻撃を受けても、その人がFANKSだったらすべて水に流せるハイレベルな(ある意味危険な)精神状態です。

 

というわけで、「おっさんずラブ -in the sky-」以来、特に熱烈な推しもない穏やかな日々を送り、この推し活全盛時代に、夢中になれる対象がいないってのも寂しいもんだけど……とか思っていたわたしに、またこんな廃人になってしまう日々が訪れるとは思いませんでした。老いらくの恋ならぬ、老いらくの萌えですか。

昨年、男闘呼組のライブに行ったあとは珍しくブログこそ書いたけれど、ここまでにはならなかったのにねえ……いくつになっても自分で自分がよくわかりません。