ご無沙汰しております。最後の更新が約1年前ですね。

また誰か亡くなったのかと思われるかもしれませんが、今回は訃報ではないので安心してください(笑)。

 

去る7月16日、わたしにとっては2022年度で5本の指に入る衝撃のニュースが入ってきました。

男闘呼組が、29年ぶりに再始動するというのです。

以前のブログを遡っていただければわかるように、私は突然、時流にまったくそぐわない沼に落ちることがしばしばありまして、男闘呼組もまた、2012年という謎の年に、急にはまりました。
そのころのブログ↓

 

 

 

それも、「男闘呼組が活躍していたころ、私、まだ生まれていませんでした☆」とかいう若者ならともかく、子どもだったとはいえしっかりリアルタイムで見ていながら、当時はほとんど素通り状態だったわたしにとっては、あまりにも今さらすぎる沼でした。

同様にTM NETWORKにも謎の時期にはまってしばらく孤独を味わっていましたが、あちらは2011年に再始動し、3回もライブに足を運ぶことができました。

しかし、男闘呼組は、事務所の問題やメンバーの逮捕などTM以上に複雑な事情が絡み合い、再始動はほぼ絶望的と思われました(まあ小室さんも逮捕されて大ニュースになったのですが;)。CDやライブ映像は軒並み絶版、かの名作映画『ロックよ、静かに流れよ』も円盤化されないまま埋もれており、このまま時の砂漠へと消え去る幻なのかもしれない……と、当時のわたしは思っていたのです。

 

それが、令和のコロナ禍にて、まさかの再始動ですよ!

ヤフオクで当時の雑誌の切り抜きまで収集するという孤独な推し活が、ここへ来て、急に報われることになろうとは!(いや、いまも孤独なのは変わらないが!)

とはいえ、そのころわたしの男闘呼組への情熱はとうに鎮火していたため、岡本健一くんが紫綬褒章を受章したとか、彼のバンド「ADDICT OF THE TRIP MIND」が再始動したとかいうニュースはキャッチしつつも、『音楽の日』という番組で男闘呼組がまさかの登場、しかも新曲まで披露したということを知ったのは、番組終了後のことでした。

慌ててYoutubeで動画を探し当て、それが現実であることを確認したものの、スマホの小さな画面ではやはり幻を見ているのかなという感覚でした。しかし、これから1年限定で活動し、10月には東京でライブがあるというではありませんかっ。

速攻で4公演すべてにエントリー。万一全部当たったらすごい出費になるやん……と戦々恐々としていましたが、幸か不幸か最終日の夜公演のみを獲得しまして、それが先日、10月16日だったというわけです。

 

ライブ開幕までの間、Googleのトップ画面にはご親切にもちょいちょい男闘呼組関連のニュースが上がってきましたが、仕事やほかのことに気を取られて、あまり真剣にチェックしないまま、あっという間に当日がやって来ました。受験前に全然関係ない漫画を読みがちなタイプですね……。もうちょっといろいろ予習してから行くべきだったかと、反省しても後の祭り。いや、ここは逆に無心でライブに飛び込むべきだろうと開き直りました。

ただでさえ少ない友達の数が少ないうえに、男闘呼組のライブに同行してくれそうな友達となると皆無ですので、もちろん一人で参戦です(泣)。

 

会場は、有明の東京ガーデンシアター。わたしはバルコニー席の後方で、ステージまでは、可もなく不可もない距離です。右隣には、やはりお一人で参戦している方がいて、話しかけようかしらと迷っているうちに、左隣にも二人連れのお客さんがやって来ました。終始声のボリュームが大きいので嫌な予感がしていたら、なんとオープニングでスマホを取り出して録画し始め、二度見どころか十度見してしまいましたよ……え、待って、これって注意した方がいいの? それか係の人にチクった方がいいの? いやしかし、せっかくの感動の瞬間になんでそんな心配せなあかんねん!と、数分くらい怒りと動揺に苛まれているうちに、きゃつはスマホを仕舞ったのですが、ほんまビビらせんといてくれや。。。

どうやら成田ファンのようでしたが、成田くんのソロに入るたびに、ゲラゲラ爆笑するのも謎でした。ディスってんのか?と思いましたが、よく観察すると感激して笑い転げていたみたいです。 新幹線でも時々、大きな声でしゃべり倒す複数連れの客と隣り合わせて、ああー外れ引いたわーと嘆きながらそっと耳栓かイヤホンを突っ込むことが多々ありますが、ライブは1回しかないし、耳を塞げないんだからさ!
と思う一方で、コロナ禍ゆえ声出し禁止というライブの仕様もなんだか寂しいものですが……。

 

楽しいはずの記事なのに、しょっぱなから愚痴ってすみません;
今回のライブは、2日間で、昼の部が第1章、夜の部が第2章という構成で、少しセットリストが違います。わたしが参戦したのは、2日目の第2章でした。

詳しいリストはSNSですぐに見つかりますので省略するとしまして、オープニングから「STAND OUT」→「DON‘T SLEEP」→「ROCK’IN MY SOUL」の流れはもう盛り上がるしかない初期の名曲ばかり。

次が、これまた大好きな「PARTY」でぶち上ったのですが(TMなら「Dive into your body」がかかる感じ)、若干テンポが遅めだったような? そして、Bメロで入るめっちゃ重要な岡本くんのソロ「誰も君を止めはしない」の音程が外れていたような?? わたしの聞き間違いだったらすみません。

4人それぞれにスポットが当たる曲「不良」や「KIDS」などを経て、中盤に「TIME ZONE」などのヒットパレード4連発。アンコールももちろんあり、ラストを飾るのはもちろん新曲(正確には成田昭次ソロ)の「パズル」。

選曲も構成も素晴らしくなんの文句もないのですが、「男闘呼組ってね、100曲以上曲があるんだよ」とMCで高橋くんが云ったとおり、8枚のオリジナルアルバムを出しているし、アルバムに入っていないシングル曲もあるしで、もっと聞きたかった曲もたくさんあります。例えば……

「ROLLIN‘ IN THE DARK」……第1章ではやったみたいです。この曲は成田くんのドラ声が心ゆくまで味わえる曲ゆえ、ぜひ聞きたかった!

「自分勝手」……これも第1章のセトリにありました。1992年のライブ映像で最高に盛り上がっていた曲。

「第二章 追憶の挽歌」……高橋→成田→全員コーラス+成田ソロという、男闘呼組の十八番が堪能できる名曲。

「LEAVE  ME  ALONE」……横浜アリーナでのライブのアレンジが神すぎて、アルバムのそれではもう満足できない体になってしまった曲。この時以降、活動休止までメンバーだったヒラポン(平山牧伸)のドラムの入りと、あっちゃん(田中厚)のキーボードがとにかくかっこいいんですよ!

ちなみに今回は、ドラムもキーボードも若いメンバーが入っていて、それはそれでよかったのですが、個人的には休止前の6人体制がベストメンバーなんだよな~。

「彼ら」「僕」「幻影」など後期の曲……自作曲をやり始めてからの男闘呼組は本当にかっこよかった。バンドとして羽ばたき始めていた後期の男闘呼組を見ていなかったら、ファンには至っていなかったと思います。わたしにとっては、アイドルバンドじゃなくて、メンバーたまたま全員顔がいいだけのロックバンドなんですよ!いや、わたしだけじゃなく、氣志團の綾小路翔やGLAYのTAKUROもそう思っているはず!(今回のライブに来ていたそうです)
ま、今回は、29年ぶりのお帰りなさいライブなので、後期のマニア向け選曲はないだろうなと思っていました。「インディアンの丘で」はやってくれたからよしとするか。

 

いや~しかし、再始動のご祝儀の気持ちを抜きにして、音楽もビジュアルも期待以上にかっこよかったので、それからというもの、また動画を漁って夜更かしする病的な日々が続いていますよ……。一度はまった沼には、時々忘れてもやっぱり帰って来てしまうものなのでしょうか。

写真で見ると、やっぱり寄る年波には……などと思ってしまう失礼なわたしですが、動いている彼らを見ると、そんな気持ちは吹き飛んで、ライブビューイングがちゃんとあるのにオペラグラスが手放せません。成田くんなんてちょっと痩せすぎなんじゃないの?と心配になっていたけれど、ギターを弾いてうつむき加減になる時の髪のかかり方とか、神がかってる!

そして、メンバー皆、昔からステージ衣装がおしゃれだったけれど、いまも健在でした。高橋くんのテンガロンハット+スーツ、成田くんのユニオンジャックジャケット+細身のダメージデニム、前田くんの水色サテンシャツ+黒のジレ、どれも本当に自分の個性をよくわかっている衣装だなあと感心しきり。中でも岡本くんの、スパンコール飾りのある黒ジャケット+赤タータンチェックのキルトスカートといういで立ちはツボに入りすぎました。さすが、天下のキムタクが慕う先輩だけのことはあるわ。近いうちにこれはコスプレしてしまいますねわたし……。

 

今回の再始動には、いろんな意味で感無量と云える面がありますが、いちばんはやはり、成田くんがステージに帰って来たことではないでしょうか。

いつもニュースで大谷翔平の顔を見るたびに、ああ、成田くんに似てるなーと感慨に耽ってしまう程度には成田推しと云えるわたしの贔屓目かもしれませんが、バンドの魂みたいなものを体現しているのが、彼なんじゃないかなと思うんですよね。もちろん4人揃ってこその男闘呼組なわけですけど、成田くんがパズルの最後の欠けたピースで、魂が入ってようやく動き出したような感じ。

いちばんブランクのありそうな成田くんなのに、いちばん昔と変わらない声量と声質をキープしていて、なんなら、ちょっと声量が惜しかった92年のライブより遥かに声が出ていて、素晴らしかった。ほかのメンバーが俳優やタレントとして活躍している間、彼はインディーズに下野し、バンドの結成と解散を繰り返し(改名したこともあったよね)、コンビニでバイトしていたとか、ショッピングセンターで演奏していたとか、果ては薬物で逮捕、保釈後は消息不明……と、ある意味、男闘呼組時代の栄光など見る影もなく、メンバーの誰よりも辛酸を舐めた人生を送ってきたと思うけれど、それもまた、男闘呼組の魂であるがゆえの試練だったのかも……って、それは大げさかしらね。

『ロックよ、静かに流れよ』の原作本では、成田君が演じた‟ミネさ“が云うんですよ。「人間って、やり直せるんだね」って。この言葉を、まさに体現した今回の復活。人生は捨てたものじゃないし、いつからでも何度でも立ち上がれるし、一度築いた栄光と友情は何ものにも代えがたい財産だなとか、なんかいろんな人生訓を勝手に引き出してしまいます(笑)。

 

ベースの高橋くんは、センター&メインボーカル。この立ち位置がいちばん安心感ありますね。固定せず、いろんなボーカルスタイルが取れるのが男闘呼組の魅力だと思うけれど、Aメロ高橋くん→Bメロで成田くんが乗っかってくる→サビで全員コーラス+成田くんがメインを取る、この流れがやっぱり黄金&必勝パターンじゃないでしょうか。後期は成田くんが最初からメインを取る曲も増えたけど、彼の声はここぞというところでスパイス的に入ってくることで最高に際立つのであり、その意味で、初期の構成はよく考えられていたんだなぁと思います。

「日本ボロ宿紀行」で演じていた、落ちぶれた一発屋歌手の役には、なんともいえない哀愁と説得力がありました。いや、高橋くんは別に落ちぶれていなくて、俳優として長く活躍しているのだけど、男闘呼組休止後は、事務所を解雇されてきっと仕事も選べなくてたいへんだっただろうなと想像して、ドラマの役に妙に感情移入してしまったものでした。

いまも聞き取りやすくて安定感のあるボーカルだけど、昔は太い声のなかに針金がすっと1本通っているようなイメージのクリアな声だったのが、いまはもっと男臭くなった感じがしました。でも彼のボーカルが中心にあるから、男闘呼組のコーラスは絶品なんだよね~。

 

メンバーのなかで唯一、生身の姿を見たことがあるのが岡本くんです。『リチャード三世』のお芝居を見に行ったのは、もう何年前だろうか……。

昔のブログでは、美形なのに年々ジャッキー・チェンに見えてくるとか失礼なことを書いていましたが(ジャッキーにも失礼な発言…)、今回のステージはもう、色気の権化すぎて、オペラグラスを覗きながら卒倒しそうになる瞬間が何度あったことか。もし追加公演に当たったら、8倍じゃなくて16倍に買い替えるべきかも……。

リードギターなのに寡黙にギターを弾く成田くんとは対照的に、ほんまに弾いてんのか?と疑われるほど激しく動くサイドギターの岡本くん。昔からとんでもなくかっこつけた弾き方でしたが、それが誰よりも似合っているため、突っ込む方が野暮なくらい。加えて今回は、ブロンドの髪にキルトスカートをおしゃれに着こなして、ジェンダーレスとかいうのを超えてもう神々しいレベルでした。ライブ会場にひっそりウクライナへの募金箱とか設置しているし、最後の挨拶も世界平和にまで言及していたりで、どこまでも気障が似合いすぎて怖いくらいです。

しかし、見れば見るほど、キムタクというのは岡本くんに相当インスパイアされて生まれた存在なんだなーと思ってしまいますね。ちなみにわたしは、キムタクはかっこいいと思うけれど、あんまり色気は感じないんだなあ……。

昔の番組で、「バレンタインの思い出」をメンバーそれぞれが語る場面があったんですけど、岡本くんだけが、道を歩いていて風俗のお姉さんに声をかけられたとかいうエピソードを披露していて(うろ覚え)、やっぱ普通の男性じゃないな……と畏怖の念が湧き起こったものでした。

 

前田くんは、漫才師・海原ともこの旦那としてすっかり3枚目キャラになった感が拭えませんが、わたしが子どものころ、男闘呼組でいちばん顔がいいと思っていたのは彼でした。でも昔の映像を見ると、昔からオチ担当だし太りやすい体質だったことがわかるので、まあなるべくしてなったキャラなんだろう……(笑)。

スリムでシャープな雰囲気のあるほかの3人と並ぶと、どうにも貫禄が目立つものの、男闘呼組のリーダーは彼であり、こういう人がいるからチームがまとまるんじゃないかと好意的に考えます。昨今のリーダー論でも、優秀なカリスマよりも、一見愚者風だけど何故か物事がうまく進むタイプのリーダーがいいっていう話もありますしね。ステージの一段高いところから3人を見守る前田くんは、もはや母のよう。TMの母が木根さんなら、男闘呼組の母は前田くん!

92年くらいのインタビューで、「いつ会っても、とことん陽気で元気な男である。少しも気分にムラがない」とインタビュアーが書いていたことからも、メンタルが安定しているタイプなのだろうと推察されます。ほかメンバーとは毛色の違うタイプに見えるけれど(初めて「ザ・ベストテン」に出演した時も、3人がいかにもロッカーっぽい衣装のなか、一人だけスーツで、司会に「マネージャーですか?」とか云われてました)、それが案外、バンドをつなぐ要になっているのかもしれません。

 

バンドというのは、ステレオタイプではありますが、一つの大きな夢の形であると思います。

一体、バンドに憧れない人生なんてあるのでしょうか? 自分がなりたい、やりたいと思わないまでも、ファンとして憧れなかった人なんて、いるのでしょうか?(いるか……)

バンドには栄光と友情があって、それとは反対の挫折と愛憎もあって、今風に云うととても‟エモい“存在だと思います。往年のバンドが、まさに頂点を極めようとしている瞬間のライブなどを映像で見ると、体中のアドレナリンがうずきます。

コロナ前までは、遊びでコピーバンドもやっていたけれど、生まれ変わったら、プロ志向のバンドを組んで武道館を目指したいですわ(笑)。

だから、つい数年前までずっとプロを目指してバンドをやっていた高校の同級生を、今さらながらに尊敬するし、うらやましいなと思うと同時に、彼がメジャーになれたかもしれない可能性なども考えてしまって、切なくなることもあります。

バンドに解散や休止はつきものだけれども、一度形になったら、人生の母船となって、いつまでも皆がそこに帰ることができる場所になるのかもしれない。そんなことを思わせる、男闘呼組の復活でした。

期間限定の活動なので、最後までしっかり見届けたいですが、味をしめてそのまま継続してくれたっていいんですよ。小室さんのように、大々的に引退会見までしても結局しれっと戻って来る。あれでいいんです(笑)。